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家電・オーディオ・カメラ

talbot one その後 開発日記 3

ラジコンに熱くなってんじゃねーよと

突っ込んで頂いて結構なんですが、夜書いたラブレターのように好きなものに対する愛が溢れて

少し…いや大分痛いかもしれないおっさんの状態を静観するブログがtalbloです。

先日書いたラジコンネタなんて興味ない方には人には完全にテロです。

申し訳ございません。

さて日々の仕事を進めながら着実に時期talbot oneの開発を進めておりまして、

何度もサンプルテストを繰り返しております。

なんでそんなにテストするのか?

サイズが決まってる、ユニットも決まってる、箱も完成した。その先に何があるんだと….

本来は箱を鳴らさないスピーカーですが、talbot oneは全く逆の考え方でヴァイオリンのように箱(筐体自体)を鳴らそうと考えてます。

箱で共鳴させようとしてます。 そのエネルギーをパッシブラジエターに集めるわけですが….

箱を最大限に響かせるための最適なサイズがあるはずです。内部が共振するポイントがどこかに有るはず。

talbot oneの基本的な考え方は奥様に怒られないサイズのスピーカーですので、

現在気に入ってる縦横の高さを変更するとデザイン的にもよろしくありません。

可能なのは奥行き。

トロンボーンのように奥行きの変更によって内部エネルギーの共振ポイントを探そうと悪戦苦闘しているわけです。

最初のtalbot oneは積層板とMDFですが、今回はスプルースと裏板メープルの可能性もあります。

つまり振動するスピーカー素材が違うと固有振動数、内部容積によって共振ポイントも変わってきます。

もうこれが大変な作業になるのですが…

木という密度が異なる生物を相手にすると計算などで出せるような代物でもありません。またはこの接着方法や板材のつなぎ方でも振動ポイントは変わってきます。

箱の作り方 板厚 縦横の比率が決定した今

奥行きの微妙な違いで最適化してました。

このように奥行きをmm単位で変化させたサンプルが大量に…..

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左から右に向かって奥行きが減っていってるのおわかりでしょうか?

mm単位です。

この中に箱が一番鳴る奥行きが存在するはずです。

箱の制作の仕様上裏板がセットバックしています。

f:id:talbotbuy:20190618141103j:plain

これによっても内部容積が変わってきています。

裏板メープル すべてスプルースなど それぞれの奥行きサイズ違いを用意してテストして行きました。

このテストがほんと面白くて、奥行きが数ミリ違うだけで、全く同じユニットをインストールしても箱の振動が全く違うんです。

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 例えば一番左のスピーカーのように奥行きが増えると内部容積が増えるため、普通の考えでは低音がリッチになると思います。私も最初そういう傾向になると考えて用意したのですが、結果は全く違う。

上部の穴へ向かうパッシブラジエターへのエネルギーが減りました…..

スピーカーのコーンが後ろに下がった時の空気の圧縮が内部容積に吸収されてる感じ….

メーカー様に作っていただいた

様々なサイズサンプルを試していたところ、

ある一種類の奥行きサイズだけパッシブラジエターが同じ曲でもズレるぐらい振動するんです。こんな感じにずれてきます。

f:id:talbotbuy:20190618141245j:plain

パッシブラジエーターは接着せずに置いてテストしていたのですが、あるサイズの奥行きだけこのようにずれてくる

同じ音量 同じ曲です。

そのサイズだけパッシブラジエターを指で抑えると明らかにスピーカー内部からの圧力が強い。つまりスピーカー内部のエネルギーがパッシブラジエーターにリターンできているということです。

たまたま曲の周波数特性が合ってる可能性があるので、

様々な曲をかけてみて、スピーカーの周りを手で触ってみても、一つの奥行きサイズだけ明らかに箱が振動してます。

全く共通のスピーカーユニットをつなぎ直しているため、違うのは筐体のみです。

このサイズにユニットをはめ込むと

部屋全体に音を広げられる….

やっと見つかりました….共振サイズ

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これが答えです。

テストにダンスミュージックとアコースティックかけてみました。

塗装をすれば更に音が締まりますが、木だけの状態です。

スピーカー上部のパッシブラジエーターの効果ご覧ください。

 1:13秒ぐらいからおすすめです。

再生はspotify → chromecast audio

マイクはゼンハイザーMKE 600です。

トーンを押したり directにしてみたりアンプもいろいろ調整しています。

アコースティック系は抜群に鳴ることはご理解いただけているので、

本来得意なのはこんなジャンルです。

 

今回は低音テストのために他のダンスミュージックもテストしてます。 このサイズで鳴らすには本来なら苦手な領域です。

箱を鳴らすために台を逆にしてスピーカー底面の響きも利用してます。

低音の音割れの限界がこのあたりです。 かなり大きな音です。

talbot oneは特にアコースティックやアンビエントに強いですが4つ打ちダンスミュージックもこんな感じに鳴らす事が可能です。 密閉型だけではこうはいかない。パッシブラジエーター+箱で共鳴させているおかげです。

このサイズに対しての低音は市販フルレンジスピーカーで聴いたことないです。

裏板メープルですが、これがなかなかいいポイントが見つけられなかった….

高音がなりすぎる傾向になり、長時間再生すると少し疲れるかなーと。

メープルコストがかなり高くなるのですが、それに見合うだけの奥行きチューニングがいまいち見つからない…

なので、大分方向性が出てきました。すべてスプルース+奥行きを最適化したモデルが現状ベストと考えてます。 耳に優しく、広がる感じです。

奥行きが2-3mm

変わるだけでこんなにも広がりが変わるのだと…..

後はエージングさせてしばらくテストしてみます。

もうすぐ発売できるかな?

近況報告でした。